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大陸反攻と台湾――中華民国による統一の構想と挫折
本書は、今日東アジア国際政治の最大の焦点となっている「台湾問題」について、米中両大国の狭間で見落とされてきた当事者たる台湾の視点で全面的に描き直す試みです。国共内戦後、台湾に逃れた中華民国は、「大陸反攻」を国是とし、蔣介石・蔣経国父子は大陸奪還と中国統一を目標とする軍事・外交政策を一貫して追求し続けました。それは、単なるスローガンにとどまらないものであり、中華民国/台湾のありようや国際関係に重大な影響を与え続けます。本書は、新出の『蔣経国日記』などの資料も駆使して、初めてその全体像を示すいっぽう、狭まりゆく国際空間の中で、現実を無視した作戦を発動することなく、最終的に「大陸反攻」の旗を降ろし、自らの生存にむけて舵を切ることを可能にした論理と柔軟性の所以をも、歴史的視野で浮き彫りにしていきます。「冷戦の残滓」や「米中対立」のみには還元できない危機の構図を詳細に明らかにした本書は、目下の状況の理解にも多くの示唆を与えるものと存じます。
著者/編集者
五十嵐隆幸
出版社
名古屋大学出版会
ISBN
978-4-8158-1034-4
出版年
1 Jan 2021 – 31 Dec 2021
専門
社会科学
テーマ
国際関係と政治学
地域
台湾