藪明山の世界ー明治工藝 白眉の藝術起業家

藪明山の世界ー明治工藝 白眉の藝術起業家
本著は、藪明山が明治から大正の終わり頃にかけて製作した豪華で精緻な大阪薩摩を紹介する。 藪明山(1853-1934)の祖父の鶴堂は儒学者であり、父の長水は大阪画壇の画家であった。明山は27歳で大阪に「陶器描画場」を開設し、工房が軌道に乗った1888(明治21)年、大阪市北区堂島中二丁目に工場を移転した頃から、海外販売に目を向けはじめた。明山の大阪薩摩は薩摩金襴手として、沈壽官(十二代)窯の薩摩焼、錦光山宗兵衛(七代)の京薩摩等と共に幕末・明治以降欧米で爆発的に人気を博し、海外の博覧会でも1889年のパリ万国博覧会をはじめとして、様々な賞を受賞した。
 藪明山が高く評価される要因の一つに、小さな器胎に精緻な絵付を施している点が挙げられる。その後も国内外の博覧会で多くの賞を受賞し、役員にも任命され、藪明山の名は欧米だけでなく、国内でも知られるようになった。 本著は優品30点に焦点を当てた2019年刊行の普及版をもとに、極小、細密の中にその美を探求し、海外に販路を求めた藪明山の業績に焦点を当て、147点の作品すべてに説明をつけ、日本語と英語で藪明山の生涯に加え、近代陶磁に関連した年表なども加え、刊行した。

著者

井谷善惠

出版社

いなほ書房

ISBN

978-4-434-28167-9

出版された

2020

専門

人文科学

テーマ

芸術と文化

地方

日本