首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル――地域振興と市民活動政策のQOLを高め、23区格差を改善するガバナンスの実現
東京はロンドン、パリ、ニューヨークとは比較にならないほどの、世界で最も「過大で過密な人口」状況を有する世界都市である。それは首都として政治経済機能が一極に集中させる一方で、様々な都市問題を東京23区に発生させる原因でもある。都市は如何なるしくみによって、市民にとって暮らしやすい地域公共政策を導出できるのだろうか。市民と地域団体・組織が連携し、暮らしを豊かにするまちづくりを円滑に進めることは可能か。本書は、大規模調査データと多様な分析手法を駆使して、その問いに応えようとしている。
本書では、「類似した制度を導入してもなお、東京・特別区の間の政策満足度には何故、地域差が生じるのか」という問題を起点とし、大規模調査データや統計から「地域特性」と「政策満足度」を抽出し検討することで、これまでのローカル・ガバナンス研究における「協働」と「ネットワーク管理」の知見についての効果と有効性を明らかにしている。
また、これまでの日本のソーシャル・キャピタル研究では地方政府の政策に対するソーシャル・キャピタルの直接的効果は認められないとされていた点について、本書は質的にかつ量的にも比較実証することで、ソーシャル・キャピタルの効果とローカル・ガバナンスへの影響を明らかにしている。このソーシャル・キャピタルとローカル・ガバナンス研究のミッシング・リンク(Missing Link)を繋ぐ成果は、大いに注目されるものであろう。
本書の特別区ごとに比較し、特徴が生じる要因を解明することで東京研究として構成するという研究手法は、世界の都市研究でも類を見ないものであり、この手法を世界各都市へ比較応用することで、住民のQOLを高めながら持続可能な都市を目指すといった政策を日本発のモデルとして発信することができる可能性を持っている。
以上のように、本書は、大規模調査データと多様な分析手法を駆使してソーシャル・キャピタルとローカル・ガバナンス研究に欠けていた、体系的理論的実証分析を提示する画期的な研究書といえ、またその研究手法は、今後の世界都市研究に資するものといえる。
本書では、「類似した制度を導入してもなお、東京・特別区の間の政策満足度には何故、地域差が生じるのか」という問題を起点とし、大規模調査データや統計から「地域特性」と「政策満足度」を抽出し検討することで、これまでのローカル・ガバナンス研究における「協働」と「ネットワーク管理」の知見についての効果と有効性を明らかにしている。
また、これまでの日本のソーシャル・キャピタル研究では地方政府の政策に対するソーシャル・キャピタルの直接的効果は認められないとされていた点について、本書は質的にかつ量的にも比較実証することで、ソーシャル・キャピタルの効果とローカル・ガバナンスへの影響を明らかにしている。このソーシャル・キャピタルとローカル・ガバナンス研究のミッシング・リンク(Missing Link)を繋ぐ成果は、大いに注目されるものであろう。
本書の特別区ごとに比較し、特徴が生じる要因を解明することで東京研究として構成するという研究手法は、世界の都市研究でも類を見ないものであり、この手法を世界各都市へ比較応用することで、住民のQOLを高めながら持続可能な都市を目指すといった政策を日本発のモデルとして発信することができる可能性を持っている。
以上のように、本書は、大規模調査データと多様な分析手法を駆使してソーシャル・キャピタルとローカル・ガバナンス研究に欠けていた、体系的理論的実証分析を提示する画期的な研究書といえ、またその研究手法は、今後の世界都市研究に資するものといえる。
出版社
株式会社 晃洋書房
ISBN
978-4-7710-3692-5
出版年
1 Jan 2022 – 30 Nov 2022
専門
社会科学
テーマ
国際関係と政治学
都市 / 農村
社会
地域
日本