国家の「余白」:メコンデルタ 生き残りの社会史
本書の舞台は,メコンデルタ。豊かな自然と世界有数の農業生産を誇り,大都市からも近く,クルーズ観光が人気の場所である。しかしここは20世紀最大の動乱の舞台でもあった。植民地宗主国だったフランス,「南ベトナム」とその背後にいたアメリカ,こうしたいくつもの国家が,統計・分類,文書化,マッピング,暴力を用いてこの地域の人々を捕捉しようとした。しかし,そうすればするほど,動乱は拡大した。そしてベトナム戦争に勝利した統一ベトナム(ベトナム社会主義共和国)でさえ,いまだに上からの統治がしにくい場所なのである。
そうした空間、「国家の余白」がなぜ形作られるのか?もともとクメール人が多く暮らしていた地域に,キン族(ベトナム人),中国系住民など様々な人々が流入して出来た民族的な混淆,流動する人・モノ・情報,闇市や徴兵忌避の寺院等々,デルタ社会ならではの生態歴史文化的特徴が「国家の介入しにくい空間」を作っていく。そのメカニズムを詳細な民族誌で解き明かしている。
そうした空間、「国家の余白」がなぜ形作られるのか?もともとクメール人が多く暮らしていた地域に,キン族(ベトナム人),中国系住民など様々な人々が流入して出来た民族的な混淆,流動する人・モノ・情報,闇市や徴兵忌避の寺院等々,デルタ社会ならではの生態歴史文化的特徴が「国家の介入しにくい空間」を作っていく。そのメカニズムを詳細な民族誌で解き明かしている。
出版社
京都大学学術出版会
ISBN
9784814003099
出版年
1 Jan 2021 – 31 Dec 2021
専門
人文科学
テーマ
都市 / 農村
社会
宗教
国家政治
歴史学
戦争 / 平和
地域
ベトナム